身体の声を聞く

「わかっちゃいるけど、つい思考優先になってしまう。」

私たちはつい、頭=脳で全てをコントロールしようとしてしまいます。
たしかに脳は身体の司令塔であり、全身の働きを調整しています。

でも発生学の視点で見てみると、まず最初にできるのは「皮膚(=膜)」。
次に腸が生まれ、そして最後に脳ができあがります。

つまり、脳はあとから作られた「調整役」にすぎず、
最初に世界とつながっていたのは“皮膚”なのです。


外界(皮膚の外)からの情報を受け取るとき、
私たちは「五感」──視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚──を使っています。

一見バラバラのように思えるこの五感ですが、
発生学的に見ると、すべて皮膚という膜の機能が特殊化した感覚器だと考えられます。

最初に境界としての「膜(皮膚)」が生まれ、
そこから光・匂い・音・味・温度といった刺激を
より繊細に感じ取るために分化していったのが五感です。

そして、そこから得た情報を整理・処理しているのが脳。
つまり、脳は皮膚を通して世界を感じ取っている、とも言えるのです。


ここで見逃せないのは、
「五感として自覚できる情報以外にも、皮膚は多くの刺激を受け取っている」ということ。

ただし、それらが微細な刺激や小さなストレスである場合、
脳は“重要でない”と判断してスルーしてしまいます。

けれど、脳がスルーしても、身体は確実に影響を受けている。
それがいわば、“無自覚な外界からのストレス”です。

思考優先で、脳が認識していることだけを現実だと思っていると、
身体の反応やSOSを見逃してしまい、
気づけば「原因不明の不調」や「慢性的な痛み」として現れてくることがあります。


病院で検査しても異常がない。
筋肉や関節の調整だけでは解決しない。

そうしたケースの背景には、
こうした**“身体が感じているのに、脳が気づいていないストレス”**が隠れていることがあるのです。


専門的に詳しく理解する必要はありません。
ただ、「そういうこともあるんだな」と前提として知っておくだけで、
身体との向き合い方が少し変わるはずです。

そのうえで、
身体の動かし方を学んだり、呼吸法を身につけたりしながら、
一歩ずつ「自分の本当の身体の声」を聞けるようになっていけたらいいですね。

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